2008年02月11日

屁をこく自由の国の一家

 例によってアラノ星(PLANET ARANO)では屁毒が問題だ。最悪の場合には致死に至るのだから、それに屁なんて誰でもするのだから、その一発が危険極まりないのである。最近も事件発生。シャイナ国の屁衛生管理の悪い食品会社が、ウカツにも冷凍芋に他国の屁毒を付着させて売り出したため国中が大騒ぎになった。

 もっとも、シャイナ国は歴史的に多民族国家で、国民相互の屁の免疫性はとても高い国民性ではあったのだ。ゆえに、付着した程度の屁毒にあたっても食中毒症状程度で済んだのだが、たまたまシャイナ国を訪れていた外国人は致命的なダメージを受けて死者が続出してしまった。この事態に弱腰になった(?)政府は第三国の報復を恐れて国境線に軍隊を配備して屁武装した。

 アラノ星では国家間の人や物の行き来は厳しくチェックされてはいたのである。何しろ微量でも異国人の屁にあたると死んでしまうのだからさ。アラノ星において国際的であること、すなわち屁衛生的であること(人前で絶対屁をしない)は国家間における近代的マナーなのであって、この恐ろしい自分たちの屁の取り扱いを巡ってこそ同盟や協定が結ばれ、平和が維持されるという屁の政治力学が展開しているわけである。

 今回の冷凍芋だが、芋の原産は芋作りが得意な隣国のチョイナ国だったのである。シャイナ国はそもそも原産国チョイナにおいて屁毒汚染が行われたと主張した。ふむふむ、チョイナ国では屁毒を濃縮した屁爆弾を実験しており、大気の屁毒汚染が問題視されていたのだからね。そりゃ怪しいわー。

 チョイナ国ではこの指摘に激しく反発し、国境に屁武装の軍隊を配備して「陰謀だ。あり得ない。無実だッ」と断言した。するとシャイナ国は、採取分析された屁毒がチョイナの毒であることを明らかにし、さらに一歩踏み込んで「友好を阻害し我が国を混乱に陥れようとする(チョイナの)浪漫派へロリストの仕業だッ」と主張した。

 この浪漫派とは、農業国チョイナ国の貧しい芋作農民から台頭した秘密結社で、屁の自由を求め「屁をこく自由の国」を標榜し、所構わず屁をこく社会の実現を主張する一派だった。もちろん、「その言や愚の極みぞ、やたら屁をして死んだらどうするか、あほッ」と激しく弾圧された。そりゃそう、屁毒がきつい(一番くさい)のはチョイナ国人の特徴なんだからさ。自由な屁を許したら下手すれば亡国の主張にもなりかねないのである。

 自由を求めるあまり(確かにアラノ星人にとって放屁は極上の快感だが…)、現実(相手に死を含むダメージを与える毒性)を忘れた(かのような)チョイナ浪漫派の主張は、周辺国でも警戒された。というか、享楽的でアナーキーな危険思想にしか見えなかったのである。しかし彼ら浪漫派は、屁の自由を通じて人間性の解放を夢見ており、敬虔な芋作によって日々の糧を得つつ、主ヘリストを讃美して放屁高吟・放屁三昧する「浪漫生活」を理想とした。

 もともとチョイナ国特産のサッツマ芋はアラノ星人の一番の好物であるのだが、くさい屁毒をエネルギッシュに産出せしめる危険と背中合わせの要注意食品である。それゆえにサッツマ芋を麻薬のように扱い、輸入を禁じている国もあるほどだ。治安が安定して国民も冷静なシャイナ国では禁輸はしていないものの、加工パッケージされた冷凍芋として準薬物扱いで販売されていた。

 さて、冷凍芋の騒動では、チョイナ国もシャイナ国も過敏になって、相手を非難するばかり。閉鎖的なアラノ星の国家間においては、何もしていない振る舞いが無罪の根拠であり、被害者であることが優位の証しでもある。もともとの芋自体には問題はないとすれば、考えられる推理は次の通りだ。

(1)そもそも、チョイナ国民は屁毒が強く、国はそれを濃縮して兵器開発を行い国土を汚染している。サッツマ芋が汚染されていた可能性は高いだろう。ただし、チョイナ国は国外に持ち出されるものすべてにチェック体制は万全と宣言し、芋は完璧なクリーン環境で洗浄済みだったと主張しているのだ。

(2)だがだが、冷凍芋の屁毒がチョイナ国のものであることは明らかである。もちろんだからといって、輸出の主要な相手国という友好関係があるのだから、チョイナ国の意図的な悪意の行為があったと見なせるものではないだろう。

(3)まてまて、それではシャイナ国の食品会社の工場の意図または過失という疑いはなかったのだろうか。そりゃ疑いはあるわけだが、企業が自滅するような悪意は論外であろうさ。食品会社は完璧にクリーンな環境を公開したし、さらにまた食品に屁毒を盛る自虐的な自国のヘロリストの侵入は絶対不可能とする施設と警備を強調した。だから、恐らく最初からサッツマ芋に付着していたのだろう。

(4)はてさて、ではシャイナ国が主張したチョイナ国の浪漫派による仕業という説は一方的すぎないか。この説は自分の国が原因ではないと主張する割には、何ら明確な証拠(事実)を提示していないし、歯切れが悪いね。察するに多分、チョイナ国に潜り込ませているスパイ情報に基づく憶測ではないのか。強硬に主張してしまうと、情報ルートがバレる恐れがあるに違いないから、ここは嫌疑を匂わせる先制的なサゼッションによって、チョイナ国の対応(不手際の反省)を求めたものであろう。

(5)いやいや、以上は事件の真相の表面を穏健に解釈するものだ。この事件が落着する筋書きには、実はシャイナ国の深い策謀があるに違いない。真相は逆にシャイナ国のヘロリストが国内攪乱を意図してチョイナ国の屁毒を持ち込んだらしいのだ。これを隠蔽するためシャイナ国はチョイナ国の仕業として転嫁しようとしているのだろう。

(6)ほおほお、そんなことが言えるのなら、この事件は、チョイナ国の防諜機関がシャイナ国に滞在する第三国の外国人を謀殺するためにやったのだという情報があるぞ。ネライはシャイナ国ではなく第三国の攪乱だ。チョイナ国でのサッツマ芋の出荷の段階か、潜入したシャイナ国の食品工場の段階か、どちらかで屁毒の混入が実行されたのだろう。

(7)ふむふむ、さすれば事件は陰謀だ。しかし、事実は何がどっちでこっちやねん。両国ともに国境の軍隊を増強しているが、戦争になるんか?

 その頃、チョイナ国の芋作農民の一家が緑の丘陵をのんびりピクニックしていた。眼下には広大な芋畑が広がっている。父親が朗々とヘリストを讃えて高吟しながらブウと一発こくと、母親と三人の子供たちも尻を振り振り明るく屁をこいて笑い合った。一家の屁は山からのさわやかな風に乗って芋畑の方にずんずん流れていった。そこでは屁は自由だった。どんな音もニオイも許し合えた。もたらされるのは極上の快楽だったのである。もちろん、そういう屁の毒性は強い。


ラベル: 軍隊 浪漫
posted by 楢須音成 at 22:29| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 独舌漫語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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